症例別眼科後期研修プログラム:白内障
白内障
白内障は高齢者の視力障害の主因で外来診療でも多くみられる疾患である。まず、細隙灯顕微鏡検査において水晶体の混濁の有無を把握できるようにさせ、さらに視力障害の原因となっているかどうか眼底検査等、さまざまな所見と総合的に検討できるように指導する。
白内障手術は眼科の中で最も多く行われるが、手術適応の判断は他の眼疾患の有無や眼科検査所見、患者の訴えと手術による機能回復等が合致するか等、総合的に考慮の上決定することの重要性を認識させる。それとともに、細隙灯顕微鏡検査により混濁部位や核硬度等を判断し、手術戦略を立てることの重要性を理解させる。また、時に(亜)脱臼等を生じている場合があり、術中の重篤な合併症につながることを教える(透明な水晶体も脱臼すること、それによる緑内障等の合併症も把握させる)。
術前検査では角膜内皮細胞計測、眼軸長測定、眼内レンズ度数計算等を自分で行えるとともに、検査・データの信頼性や異常値等が判断できるようにする。
術前管理として眼局所の把握とともに、高齢者も多く適切な全身管理の重要性を認識させる。術後眼内炎の発症リスクを低減させるべく抗菌薬等の投与方法にも配慮を行う。術後は一過性高眼圧、炎症等を適切に把握するとともに、適切な処置が行えるように訓練する。特に重篤な術後眼内炎では典型的な症状を把握させ、疑いを持った段階からの迅速な対応が重要であることを認識させるとともに、処置の内容やタイミングを理解させておく。また、囊胞様黄斑浮腫等が術後に生じることを認識させ、視力不良例での光干渉断層計(OCT)検査等の必要性を理解させる。
術後数年経ても後発白内障等の合併症が生じることを教え、さらにはNd:YAGレーザーの処置が適切に行えるように指導する。
(1) 水晶体の混濁・核硬度を評価できる。
(2) 白内障手術の適応を判断できる。
(3) 角膜内皮細胞を計測、評価できる。
(4) 眼軸長を測定できる。
(5) 眼内レンズの度数計算ができる。
(6) 白内障手術の術前管理ができる。
(7) 白内障手術の術後管理ができる。
(8) 術後眼内炎を診断できる。
(9) 後発白内障を評価できる。
(10) 水晶体(亜)脱臼を診断できる。