□糖尿病網膜症の病態と治療	□加齢黄斑変性の遺伝子研究
□糖尿病網膜症とPEDF	□白内障術後に生じる屈折誤差の研究
□未熟児網膜症に関する後ろ向き観察研究	□眼底血流測定（DMR,AMD）
□未熟児網膜症の予後と屈折度数に関する研究	□白内障術後の偽調節と高次収差に関する研究
□高齢者を対象とした眼科コホートスタディ（藤原京スタディ）	□緑内障が生体リズムへ与える影響(LIGHT study)

緑内障が生体リズムへ与える影響(LIGHT study)

緑内障や白内障が視覚障害を引き起こすことは広く知られていますが、近年うつ症状・睡眠障害・認知機能障害などの生体リズムを呈する全身疾患との関連が報告されています。

ヒトの生体リズムは脳内の視交叉上核に存在する生体リズム中枢で制御されています。生体リズムは光曝露により調整される事が広く知られており、緑内障や白内障患者さんでは生体リズム中枢への光情報が減少するため生体リズムの乱れを生じる可能性が示唆されています。

実際に我々は本学疫学予防医学講座（佐伯圭吾教授・大林賢史准教授）が主催する大規模疫学研究；平城京スタディに眼科分野で参加し、緑内障とうつ症状の関連や、白内障患者さんでは生体リズムの一つである夜間血圧変動の減少が生じることを見出しました。

これらの研究成果を踏まえ我々は、2017年から奈良県立医科大学附属病院へ通院中の緑内障患者さんを対象として、緑内障が生体リズムに関連する病態や疾患（眼圧日内変動・血圧日内変動・うつ症状・睡眠・認知機能など）や生体リズム指標（メラトニンなど）へ影響を与えているのか検討する研究；LIGHT studyを実施しています。本研究は光曝露量測定などの生体リズム検査や統計解析について疫学予防医学講座の協力を得て行われています。

本研究（LIGHT study）の初期対象者（109名）の解析から我々は緑内障患者さんでは睡眠中の血圧が高い事を明らかとし、本研究結果はOphthalmology誌へ掲載されました。この結果は緑内障患者さんで心血管障害や死亡が生じやすい可能性を示唆しており、緑内障が全身へ影響を与える一つの根拠となるかもしれません。

関連論文

Increased nighttime blood pressure in patients with glaucoma: cross-sectional analysis of the LIGHT Study
Yoshikawa T, Kenji Obayashi, Kimie Miyata, Keigo Saeki, Nahoko Ogata
Ophthalmology 2019. in press

Diminished circadian blood pressure variability in elderly individuals with nuclear cataracts: cross-sectional analysis in the HEIJO-KYO cohort.
Yoshikawa T, Obayashi K, Miyata K, Nishi T, Ueda T, Kurumatani N, Saeki K, Ogata N
Hypertension research: 42 204-210 2019

Association between glaucomatous optic disc and depressive symptoms independent of light exposure profiles: a cross-sectional study of the HEIJO-KYO cohort.
Yoshikawa T, Obayashi K, Miyata K, Ueda T, Kurumatani N, Saeki K, Ogata N
The British journal of ophthalmology 2018. in press

Macular retinoschisis in eyes with glaucomatous optic neuropathy: Vitrectomy and natural course.
Yoshikawa T, Yamanaka C, Kinoshita T, Morikawa S, Ogata N
Graefe's archive for clinical and experimental ophthalmology 256(2) 281-288. 2018

Effect of cataract surgery on cognitive function in elderly: Results of Fujiwara-kyo Eye Study.
Miyata K, Yoshikawa T, Morikawa M, Mine M, Okamoto N, Kurumatani N, Ogata N
PloS one 13(2) e0192677. 2018

Cataract Surgery and Visual Acuity in Elderly Japanese: Results of Fujiwara-kyo Eye Study.
Miyata K, Yoshikawa T, Mine M, Nishi T, Okamoto N, Ueda T, Kawasaki R, Kurumatani N, Ogata N
BioResearch open access 6(1) 28-34. 017


競争的資金

緑内障が生体リズムへ与える影響の検討
文部科学省: 科学研究費補助金（基盤研究C）
研究期間: 2019年4月 - 2022年3月 代表者: 吉川匡宣

緑内障が生体リズムへ与える影響の解明−前向きコホート研究横断分析−
ノバルティス: 2019年度ノバルティス研究助成
研究期間: 2019年5月 - 2020年3月 代表者: 吉川匡宣

緑内障が生体リズムに及ぼす影響-前向きコホート研究ベースライン横断解析-
大阪コミュニティ財団: 医学医療研究助成（杉原明記念基金）
研究期間: 2019年4月 - 2020年3月 代表者: 吉川匡宣

緑内障が生体リズムへ与える影響の解明
藤井節郎記念大阪基礎医学研究奨励会: 研究助成
研究期間: 2019年4月 - 2020年3月 代表者: 吉川匡宣

緑内障が生体リズムへ及ぼす影響
奈良県立医科大学: 公立大学法人奈良県立医科大学若手研究者研究助成事業
研究期間: 2018年6月 - 2019年4月 代表者: 吉川匡宣

緑内障が高齢者の睡眠・認知機能・うつ症状へ与える影響
大阪ガスグループ福祉財団
研究期間: 2017年4月 - 2018年3月 代表者: 吉川匡宣

緑内障が生体リズムとその関連疾患へ与える影響 −前向きコホート研究横断分析−
ノバルティスファーマ: ノバルティスファーマ眼疾患研究助成
研究期間: 2017年1月 - 2017年12月 代表者: 吉川匡宣

緑内障が生体リズムに及ぼす影響 −高齢者100名の前向きコホート研究ベースライン横断解析−
三井住友海上福祉財団
研究期間: 2016年10月 - 2017年9月 代表者: 吉川匡宣